健康コラム
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vol.37 健康経営優良法人の取得をめざす ~大規模法人部門編~
認定制度の基本知識編では、健康経営優良法人制度の概要についてご紹介しました。
今回は、具体的な「健康経営優良法人」の大規模法人部門の認定基準についてご紹介いたします。
「健康経営優良法人2020」における大規模法人部門は1,476法人が認定(健康経営度調査回答数2,328法人中)されており、今後ますます増加が見込まれています。
健康経営銘柄の選定フローと健康経営優良法人(ホワイト500・大規模法人部門)の認定フロー
大規模法人の場合、「健康経営優良法人」認定の他、さらに東京証券取引所の上場会社においては「健康経営銘柄」を取得できるチャンスがあります。それぞれの選定・認定フローはつぎのとおりです。
<健康経営銘柄の選定フロー>
※健康経営度・・・「健康経営度調査」の総合評価の順位
大規模法人部門の認定基準とは
大規模法人部門の認定フローでは、「健康経営度調査」に回答することが第1ステップとなっています。
しかし、中小規模法人の申請フローとは異なり、この「健康経営度調査」に基づき認定基準に適合しているかを判定されるため、まずは大規模法人部門の認定基準をみていきましょう。
表(出典:経済産業省)のとおり、健康経営優良法人(大規模法人部門)の中でも、「健康経営銘柄」「ホワイト500」においては、評価項目の①「トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること」が必須要件となっています。
大規模法人部門の場合、中小規模法人部門と異なり、認定要件の各項目に対する認定基準解説書はなく、健康経営度調査の調査票に詳しい記載方法や適合条件に関する説明が書かれています。また、あわせて「よくある質問(Q&A集)」も参考になります。
大規模法人部門の認定基準の特徴とポイント
健康経営優良法人の認定基準については、中小規模法人部門と共通している項目もありますが、大規模法人部門の認定基準2021で特徴的といえるのが、実施体制における「保険者との連携」、制度・施策実行における「専門資格者の関与」、そして評価・改善における「取組の効果検証」といえます。
自社内だけで完結できない項目の一つが「保険者との連携」です。しかし、連携することは事業者側だけでなく、保険者にもメリットがあります。厚生労働省では「データヘルス計画※」が推進されており、コラボヘルス(企業・健保組合の連携)が重要になっています。保険者にとって、後期高齢者支援金の加算減算制度(いわゆるインセンティブとペナルティ)は健保の財政上喫緊の課題であり、コラボヘルスを推進することが評価項目の一つとなっています。
※データヘルス計画・・・健康保険組合等が保有するレセプト(診療報酬明細書)や特定健診・特定保健指導などの情報を活用し、加入者の健康づくりや疾病予防、重症化予防につなげるもの
会社の従業員の健康課題を最も把握しているのが産業医や保健師といえます。産業医や保健師は健康診断の結果から事後措置、メンタルヘルス不調者との面談、長時間労働者の面談など、データから得られる情報以外にも従業員の健康管理の観点に関する様々な情報を持っており、健康経営の取り組みを推進するうえで欠かせない連携先です。
労働安全衛生法で規定されている健康診断の結果等から、健康経営に資する様々な施策の効果検証を行います。
健康経営に関する事業への従業員参加率等のほかに、生活習慣の改善等を検討する際には、やはり保険者や産業保健スタッフとの連携が不可欠といえます。健康経営に関する取り組みを社内外に発信するうえで、
上記のほかにもアブセンティイズム(健康上の理由による長期欠勤等の機会損失)やプレゼンティイズム(健康上の理由による個人の生産性低下)、ワーク・エンゲージメント(仕事に積極的に向かい活力を得ている状態)等の指標の評価に取り組む企業もあります。
健康経営度調査とは
健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定要件が確認できたら、いよいよ「健康経営度調査」に回答します。
健康経営度調査は、経済産業省ホームページに掲載されているURLにアクセスし、調査票を入手します。調査票は電子媒体で配布されており、アップロードについてもダウンロードしたサイトから提出します。(詳細は経済産業省ホームページ参照)
健康経営優良法人2021ではおおよそ86問で構成されており、認定を受ける場合には時間に余裕をもって提出することをおすすめします。
「健康経営優良法人」の認定を取得できなかった場合でも、この調査票に回答すると、必ず評価結果に関するフィードバックシートを受け取ることができるため、次年度以降の見直しにも大変有用です。
「健康経営優良法人」認定要件の動向
また、認定要件について、「健康経営銘柄2022」及び「健康経営優良法人2022」に向けて、「3.制度施策実行の新たな評価項目」に「従業員の喫煙対策」の追加の変更が検討されています。
そのため、すでに健康経営優良法人の認定を受けている法人も、これから認定取得をめざす法人も、従業員の喫煙対策に関する取り組みの準備をしていくことが求められます。
「健康経営優良法人」認定要件を満たすには・・・?
認定要件の項目をみて、取り組めていない項目はあるでしょうか。
これらの認定項目に関わる取組を弊社ではサポートいたします。
各種健康診断やストレスチェックの実施、その他従業員の健康づくりに関する対策等ご相談ください。
参考(2020年10月 閲覧)
経済産業省 健康経営優良法人認定制度とは
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html
経済産業省 企業の「健康経営」ガイドブック(改訂第1版)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei_guidebook.html
厚生労働省 第37回保険者による健診・保健指導等に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10345.html
慶應義塾大学 島津明人研究室 ワーク・エンゲージメント
https://hp3.jp/
健康経営は継続し戦略的に進めることで企業価値の向上につながります。
当社保健師による健康経営優良法人ガイダンスを希望される方は
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担当 小林保健師 小澤保健師