健康コラム
保健師コラム
vol.66 正しい情報を入手し判断する力〝ヘルスリテラシー〟を高めよう
皆さんは、健康な毎日を過ごすために、気を付けていることはありますか。そのために、雑誌やインターネットで健康についての記事を読むことが多いと思います。毎日の忙しい生活で、つい夜更かしや暴飲暴食をすると翌日の体調に影響してしまう、ということは誰でも経験したことがあるはずです。企業全体で考えても、従業員の体調がいい日には仕事のパフォーマンスが上がるというデータがあります。そのため、従業員の健康の保持増進は、企業の生産性もあがるということにつながります。
ヘルスリテラシーとは
「健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力であり、それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて判断したり意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるもの」と定義されています。
Health=健康 Literacy=識字力(読み書き能力)です。
自分の体調の変化について正しい情報を得ることができたり、病院で的確に医師に症状を伝えたりすることは大切です。毎年行われている健康診断も、その大切さを理解して受診し、自分の身体の状態を知っておくこともヘルスリテラシーに当てはまります。そのように自分の健康を保つために、正しく理解して行動できる能力のことをヘルスリテラシーといいます。
ヘルスリテラシーが低いとどうなる?
では、ヘルスリテラシーが低いと、どのようなことになるのでしょうか。
新型コロナウイルスなどの感染症の蔓延によって予防接種が必要になっても、その情報を入手できずに感染を拡大させてしまう危険性があります。また、医師や薬剤師の治療や薬の説明も理解できないため、正しく治療ができません。また、それは個人レベルだけでなく、企業にとっても不利益を生みます。
労働安全衛生法には、事業者は「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」と記載されています。従業員の健康管理は企業の役割といえます。
ヘルスリテラシーが低いと健康診断の受診率は低くなり、健康管理ができず従業員の安全性が保たれません。異常が見つかっても早期に治療ができなかった場合、慢性の病気になり治療期間や医療費に影響を及ぼします。また労働災害につながることもあるでしょう。そのため、健康診断で異常値が見つかった場合は、適切に専門家につなげることが必要です。
従業員のヘルスリテラシー向上のために企業ができること
具体的に従業員のヘルスリテラシーを高めるためには、どのようなことができるのでしょうか。
まず、社内報やメールマガジンなどで季節に合わせた健康知識の記事を載せたり、健康診断の結果とともにリーフレットなどで情報提供したりするのも良いでしょう。その情報を基に本や雑誌、インターネットでキーワードを検索してくれるかもしれません。
社員食堂での朝食提供サービスや、ヘルシーメニューの開発などを考案している企業もあります。食事の準備や時間を気にしている人にとっては、このような食事提供サービスが気軽に利用できる健康維持につながります。
福利厚生で、フィットネス施設との契約をしている企業も多くあります。デスクワークがメインの方にとっては、運動不足による肥満や生活習慣病を予防する契機になるかもしれません。さらに、社内にインストラクターを招いてのヨガイベントを開催するのはいかがでしょうか。「仕事終わりに運動なんて面倒」という従業員も気軽に参加できてリフレッシュできるため、生産性の向上につながります。
そして、健康管理最高責任者(Chief Health officer : CHO )を設置している企業もあります。経営陣がCHOになることで、社内発信の健康情報もメッセージ性が強いものになっていき、持続性のある健康経営が実現できるのです。
以上のように、企業は従業員のヘルスリテラシーを高め、健康に働ける環境を提供し、健康経営を加速させることにつながっていきます。
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保健師 樫山
SESの産業保健師サービス