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vol.85 ここを押さえよう!高ストレス者対応とポイント
労働者が自分のストレスの状態に気づき、メンタルヘルスのセルフケアに役立てるために行うストレスチェック。これまで実施義務ではない従業員50人未満の事業所にも、今後は実施が義務化されることが決まり、すべての企業に対応が求められるようになります。
本記事では、ストレスチェックの結果「高ストレス者」と判定された従業員に対し、企業の担当者がどのように対応すべきかを、実務の流れに沿って解説します。
■高ストレス者の判定基準
「職業性ストレスチェック簡易調査票」(ストレスチェック調査票)には、心身のストレス反応・仕事のストレス要因・周囲のサポートの3つの項目が設定されており、それぞれ質問に対する回答結果を点数化してストレス度合いを判定します。
高ストレス者と判定されるのは、以下のいずれかに当てはまるケースです。
●「心身のストレス反応」の数値が一定以上高い
●「心身のストレス反応」の評価点数の合計が一定以上であり、かつ「仕事のストレス要因」および「周囲のサポート」の評価点数の合計が著しく高い
ただし、杓子定規に当てはめるものではなく、ストレスチェック実施者である産業医や産業保健スタッフの判断も加味されることがあります。
■高ストレス者面談~実施報告の流れとポイント
1:高ストレス者への案内
産業医や産業保健スタッフから対象者へ「高ストレス者面談の勧奨通知」を送ります。
<文書例>★当社では、受検システムからの勧奨通知を行うことが可能です★

高ストレス者への面談は、ストレスの高い者を早期に発見し、メンタルヘルス不調を未然に防止すること、事業者は、その面談の結果に応じて職場環境の改善など適切な措置を講じること、という一次予防が目的です。 従業員が働きやすい職場づくりのためにも、ストレスチェック制度を活用できるよう、社内告知等を積極的に行いましょう。
2:面談調整
高ストレス者本人から面談の申し込みがあった場合、日程調整を行います。
申込みのない対象者には、面談に代わる相談窓口(社内カウンセリング、外部の専門機関、かかりつけ医など)を案内し、必要な場合は職場環境の改善に取り組みましょう。
また、事業者は、対象者が面談を受けやすいように、オンラインでの実施や高ストレス者ということを周りに知られないような配慮をすることが大切です。
<面談の目的とメリット>

3:医師の意見聴取と措置の決定
高ストレス者面談が終了したら、医師の意見聴取書を受領します。労働安全衛生法により、高ストレス者から希望があった場合に対する面談の実施は事業者の義務と定められており、医師からの意見を聴取し、遅くとも1か月以内には「就業上の措置」を検討・実施する必要があります。

4:面談後の事業者の対応記録
面談を実施した記録は5年間保存し、必要な場合は労働基準監督署に報告する義務があります。
保存に含めるべき主な内容は以下の通りです。

5:労働基準監督署への報告
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、ストレスチェックの結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。

■おわりに
高ストレス者の中には面談を申し出ない人もいますが、その原因として「人事評価に影響があるのではないか」などの誤解も考えられます。事業者も、窓口となる担当者にはストレスチェック制度に則り人事権を持たない者を選出し、従業員にも受検結果により不利益が生じない旨をあわせて周知する必要があります。
高ストレス者への面談は、ストレスの高い者を早期に発見し、メンタルヘルス不調を未然に防止すること、事業者は、その面談の結果に応じて職場環境の改善など適切な措置を講じること、という一次予防が目的です。従業員が働きやすい職場づくりのためにも、ストレスチェック制度を活用できるよう、社内告知等を積極的に行いましょう。
ストレスチェックについての記事は、是非こちらもご覧ください!
vol.77 ストレスチェック義務化の拡大をチャンスに! – 健康経営トータルサービス
vol.73 職場改善に役立てよう!~ストレスチェック集団分析~ – 健康経営トータルサービス
★当社では、小規模事業場を含めたストレスチェックの体制づくり~産業医面接指導の
支援が可能です。ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください★



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TEL:0120-95-1824
(執筆:保健師 樫山)
【健康経営や保健師健康サポートにご興味がある方はこちらのページも是非ご覧ください】
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参考文献:
医学的知見に基づくストレスチェック制度の高ストレス者に対する適切な面接指導実施のためのマニュアル2021年9月版
https://www.mhlw.go.jp/content/000843224.pdf
厚生労働省 大分労働局 <具体例・様式例> ○ 面接指導の勧奨文書例 https://jsite.mhlw.go.jp/oita-roudoukyoku/var/rev0/0111/3811/9.pdf
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