健康コラム
保健師コラム
vol.71 会社が取り組む新入社員の健康管理について確認しましょう
4月に新入社員を迎えた会社様も多いか思います。
会社は、労働安全衛生法を中心とした様々な規則や指針によって、従業員の健康管理や健康の保持増進を行うことが定められています。代表的なものとしては、健康診断やストレスチェックですが、新入社員の健康管理もその一部です。
入社からしばらく経った今、改めて新入社員の健康管理についておさらいをしていきましょう。
＜新入社員を取り巻く環境の変化＞
社会人１年目は、大きく環境の変化が起きると同時に、本人がその環境に適応しなければならないという負担があります。学生生活から社会人生活に飛び込むわけですから、一つ一つの業務をイチから学ばなくてはなりません。職場の雰囲気や先輩との会話に馴染むために、無意識に元気な姿を演じている場合もあります。また、転居による不安や生活スタイルの変化によって、食欲や睡眠などにも影響があるでしょう。
環境の変化によっておこる身体やメンタルへの影響は様々ですが、以下の症状等が見られる場合は要注意です。
このようなときには、知らず知らずに不規則になってしまった生活スタイルの修正や、睡眠負債の解消などのセルフケアが大切ですが、職場の上司や同僚の優しい声かけで、余計な緊張感がとけて上手くいくことがあります。
「一人で抱え込まないで」と言われても誰に相談していいか分からない、自分から声をかけられないために孤立してしまうというケースも少なくないため、新入社員が気軽に話せる環境や信頼関係を築いていくことが必要です。
＜５月病の影響はありませんか？＞
５月病とは、４月に受けた変化が強いストレスとなり、５月の連休で緊張状態が途切れて、疲れが一気に重くのしかかってくる状態をいいます。前述の症状に加えて、イライラや焦燥感、抑うつ感、頭痛、腹痛などの症状があり、出勤できない状況になると重症です。そのような新入社員に話を聞くと、「実は４月下旬からずっと我慢していた」「仕事の不安が頭から離れずに眠れなかった」という声があがるのが現状です。
重症の場合は専門医（メンタルクリニック）を受診し、適切な対処が必要です。5月病は多かれ少なかれ、誰もが経験したことがあるとは思いますが、重症になるケースもあるため軽視できない症状といえます。
＜ラインケアとストレスチェックの有効活用＞
せっかく入社した人材を短期間で失うことは、会社にとってもダメージがあります。それを防ぐためには、ラインケアで働きやすい職場環境を意識することが大切です。
新入社員は、業務内容の質問をするタイミングを気にしています。上司や先輩から声をかけられると、自信のない業務内容を確認できたり、雑談に交われることを実感したりすることで安心するものです。ただ、一方的な叱咤激励や根掘り葉掘り聞きだすのはかえって逆効果ですので、話す内容や程度の配慮は必要でしょう。新入社員の個性をくみ取り、ストレスの原因にならないように注意します。
また、業務内容や業務量についての検討も必要です。初めは本領を発揮できないという人もいるので、本人と相談して一時的に業務の負担を軽くすると、精神的にラクになるかもしれません。
ストレスチェックを活用するのもお勧めです。自分でも気づかないうちに高ストレスになっているという従業員をスクリーニングできます。高ストレス者が早めに対処できる体制にすると、早期の改善や治療につながり重症にならずに済みます。
新入社員以外にも、春は昇進や転勤などで環境が変わることが多い時期のため、ストレスチェックの時期を春～夏に設定し早めにストレスを自覚することで、セルフケアの見直しや産業医面談など、自身のメンタルを把握して無理のない日常生活を送るヒントになるかもしれません。
体調が優れないことは、誰にでもあることです。無理に出勤しても、体調が悪いと仕事のパフォーマンスが上がらないばかりか、ますます体調が悪くなって長引いてしまうということがあります。これは身体だけではなく、メンタルも同様です。新入社員が無理をせず、早めに休養を取って対処できる職場環境は、早期離職を防ぐことにもつながるのです。
産業衛生サポートでは、産業医の紹介・業務支援、ストレスチェックの実施支援をはじめ、保健師による健康支援サービスも行っており、健康で安全な職場づくりをサポートさせていただきます。 ご相談の際は、是非お気軽にお問い合わせください。
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（執筆：保健師 樫山）
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