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vol.6 知っておこう!インフルエンザ
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症です。毎年11月頃から流行が始まり、1月下旬から2月にかけてピークを迎え、4月には収束します。
インフルエンザウイルスにはA型B型C型の3つの型がありますが、流行するのはA型とB型で、C型はヒトの間での流行は起こりにくいとされています。
季節性と新型の違い
毎シーズン流行するインフルエンザは、季節性インフルエンザと呼ばれています。それに対し、抗原性が大きく異なりヒトが免疫を獲得していないことで急速かつ広範囲に感染するインフルエンザを、新型インフルエンザと呼びます。
季節性インフルエンザの感染者数は毎シーズン全国で1000数百万人と推定されていますが、昨年は累積推計受診患者数が約2249万人と例年を大きく上回りました。
新型インフルエンザは今まで何回か世界的な大流行(パンデミック)を引き起こしており、1918~19年のスペインインフルエンザでは世界で2000~4000万人が死亡したと言われています。
インフルエンザの症状は?
インフルエンザの症状は、喉の痛み・咳といった呼吸器症状の他に、悪寒戦慄を伴う急な高熱、全身倦怠感、筋肉痛などの全身症状を伴うことが特徴的です。肺炎、脳症などの重篤な合併症を発症することもあり、特に小児、高齢者や基礎疾患を持っている人は注意が必要です。また、小児では因果関係は不明ですが、異常行動が見られることがあり、厚労省から注意喚起がなされています。
迅速診断キットと新たな薬
インフルエンザの診断には、迅速診断キットを用います。鼻や喉の粘液を綿棒で拭って調べれば、10分程度で感染の有無とA型かB型かの診断ができます。
治療には抗インフルエンザウイルス薬を使用します。現在、内服薬、吸入薬、点滴注射薬など数種類の薬剤が承認されていますが、今年新たに内服薬が1剤承認されました。その薬は1回内服するだけで治療が終了するため服薬コンプライアンスに優れており、また、従来の薬と作用機序が異なり耐性ウイルスにも効果が期待されています。高熱、咳などに対しては風邪と同様に対症療法を行います。
休む日数は?
小児の場合、学校や園への出席停止の期間は、「インフルエンザにあっては、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」と定められています。成人の場合、特に決まりはありませんが、解熱して3日目から外出可とするのが一般的です。
インフルエンザの感染予防
予防接種においては、毎シーズン流行するインフルエンザが予測され、それに対するワクチンが製造されます。ワクチンを接種することで完全に感染を予防することはできませんが、重症化を防止することができます。
予防接種だけでなく、日頃から手洗い・うがいなどを習慣付けておくことも、感染予防には重要です。石鹸、流水により物理的にウイルスを洗い流すほか、アルコール製剤で消毒するのも効果的です。
また、飛沫感染を防ぐため、咳エチケットの励行が推奨されます。咳・くしゃみをするときはティッシュなどで口と鼻をカバーし、外出時はマスクを着用するようにしましょう。マスクをしていない場合でも、手を使うと感染してしまう恐れがあるため、とっさの咳・くしゃみは袖や上着の内側で覆うようにしましょう。
睡眠を十分に取るなど体調管理に十分に留意し、インフルエンザの感染予防を心掛けることが大切です。もし感染が疑われたら、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。
参考
国立感染症研究所 厚生労働省結核感染症課『今冬のインフルエンザについて(2017/18シーズン)』
厚生労働省 感染症情報『新型インフルエンザに関するQ&A』
東京都感染症情報センター『インフルエンザ(seasonal (regular) influenza)』『咳エチケット』
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