健康コラム
産業医コラム
vol.21 突然死は冬に多い!?気をつけるべき生活習慣
突然死の定義には諸説ありますが、症状の発現から24時間以内に死亡に至ることとするのが一般的のようです。もちろん、外傷・事故などの外因死や自殺は含まれません。また、乳幼児に発生する乳幼児突然死症候群という原因不明の病態もありますが、今回は成人の突然死について考えてみたいと思います。
突然死の原因
突然死の原因としては、心疾患、脳血管障害、呼吸器疾患などが挙げられますが、救急外来に心肺停止状態で救急搬送され、解剖がなされないことも多く、死因の確定診断がつかないことが多いのが現状です。日本では年間約10万人の方が突然死で亡くなっているとの推計もあります。
また、当該施設で死因が特定された突然死131例のうち、心疾患が全体の約70%を占め、その約2/3が狭心症・心筋梗塞で、他に重症不整脈、大動脈破裂・解離、心筋症などがあるとの報告があります。次に多いのが脳血管障害で、全体の約20%を占め、そのうち約半数が脳出血でくも膜下出血、脳梗塞が続きます。他の報告を見ても、同様の傾向が見て取れます。
リスク要因と生活習慣
心筋梗塞や脳梗塞・脳出血は動脈硬化が主な原因で、糖尿病・肥満・高血圧・高脂血症・喫煙などがその危険因子です。言い換えれば、生活習慣を改善することで突然死のリスクを減らすことができるということです。
生活習慣を改善するためには、以下の習慣を日常の生活に取り入れることが大切です。
①毎年健康診断を行い、異常を指摘されたら放置せず精密検査を受け、必要な治療へ繋げる
②体調不良を感じたら、我慢せず医療機関を早めに受診する
③禁煙する
④一日三食をバランスよく食べる
⑤定期的な有酸素運動をする
⑥十分な睡眠をとる
⑦ストレスを貯めないよう心掛ける
冬場はヒートショックも
さらに、冬場の突然死の原因として忘れてはならないのが、ヒートショックです。
ヒートショックとは、温度の急激な変動に伴い、血圧が乱高下することが起因となる病態です。冬場の入浴時に最も多く発生しています。暖かい居間から寒い脱衣所・浴室へ、次に暖かい湯船につかることで、血管は収縮拡張を短時間の間に繰り返し身体が対応しきれなくなり、心筋梗塞、脳卒中など重篤な状態を引き起こします。ヒートショックが原因と思われる入浴中の事故で、年間14,000人の方が亡くなっているとも言われています。
もちろん、意識を失い湯船で溺死する方も多いので、その中で突然死の割合がどの程度かは明らかではありません。しかし、決して無視できる数字ではないことは明らかです。
ヒートショックを予防するには
では、ヒートショックを予防するにはどうしたらよいのでしょう?
まず、温度差をなくす観点から、シャワーでのお湯張り・風呂のふたの開放・日没前の入浴・湯温を40℃程度に設定などが現実的で、すぐにでも実行可能な方法と思います。近年のヒートショックによる死亡例は65歳以上の高齢者がほとんどを占めており、高齢者の入浴中は特に注意が必要です。こまめに声掛けをするなど、家族で心配りをすることも大切です。
生活習慣の見直しが重要
突然死は高齢者のみならず、いつ誰に起きてもおかしくありません。特に、高血圧・糖尿病・高脂血症など持病のある方、肥満や喫煙などリスクを抱えている方はできる限り速やかに生活習慣を見直し、危険回避を心がけましょう。
参考
東京都福祉保健局『東京都23区における入浴中の死亡者数の推移』
東京都健康長寿医療センター研究所『高齢者の入浴時の注意』など
ご不明点や相談についてはお気軽に下記までお問い合わせください
メール(info@sangyoueisei.co.jp)もしくはお電話(0120-95-1824)でお問い合わせください。